プロフィール

2004年5月、浜松に新しく誕生した市民オーケストラです。
入団オーディションなどの制約を設けることなく、音楽に情熱を持つ市民が広く参加できるオーケストラとして設立されました。

演奏活動を通じて団員相互の親睦を深め、あわせて地域の音楽振興に貢献することを目的に日々練習に励んでおります。
現在、団員は約100名、浜松市及び近隣に在住の会社員、公務員、自営、主婦、学生など、そして就職・転勤で当地に来られた東京・大阪、地方出身者、バラエティに富んだ仲間が集って自主的に運営されております。

練習活動について

練習活動は原則として毎週土曜夜間に行っています。練習会場はあいホールをメインに使用しております。
詳しくは練習予定表をご覧ください。

演奏会について

定期演奏会は毎年1回2月頃行っています。会場はアクトシティ浜松 中ホールです。
その他に、毎年夏ごろファミリー・コンサート等を行っています。

浜松市民オーケストラ
    ~まちの雰囲気を伝えられる
                        オーケストラに~
文化振興財団
「文化創造人 HCF NEWS vol.15 」より

浜松市民オーケストラ。
その名の通り浜松市を拠点に活動するアマチュアの音楽団体であり、2014年5月には10周年を迎えました。
今後のますますの活躍を期待して、この団の設立者でもある代表の鈴木孝幸さんにお話を伺いました。

◆ひとりでは叶わなかった夢の実現

20年ほど前から、学生時代に打ち込んでいたオーケストラ活動を再開したいと、いつも考えていました。当時、浜松には土日に活動しているアマチュアオーケストラがなく、諦めるしかありませんでした。
しかし、私と同じように”平日に活動している団体への参加は難しく、諦めている人”がきっとたくさんいるはず、いつか新しいオーケストラを起ち上げようと考えるようになりました。

ちょうどその頃、浜松市アクトシティ音楽院の呼びかけで、コンサートの企画から開催までを体験できる「主催者養成セミナー」を受講しました。そこで知り合った数人の仲間に夢を打ち明けたところ、市民によるオーケストラのコンサートを共に実現させようということになったのです。 ホームページを作成したり、テレビ・ラジオ・新聞などのマスメディアを通じて団員を募りました。その結果、設立説明会には約100名が訪れ、そのうち8割くらいの方が入団しました。 練習会場となった「はまホール」の会議室が音楽練習室に衣替えした時期だったことなど、人との出会いにも恵まれて、2004年5月、団員募集からわずか半年でスタートを切ることができました。

◆違いより同じものを意識して

設立当初は人数が足りないパートがある時期がしばらく続きましたが、団員がその仲間を誘うことによって、次第に解決していきました。団の運営で最も難しかったのは、初めて顔を合わせた者どうしの意見をまとめ、団の基盤となる方針を固めることでした。 アマチュアとして、演奏の質をどこまで追求するのか、そのために何をするのかという活動のベクトルや価値観をすり合わせ、みんなが納得できる活動方針を構築していくには、数年の時間が必要でした。

心のこもった演奏は聴き手の心に響き、聴き手の共感が演奏者の達成感に繋がります。 そのためには、演奏の質を追求する姿勢は重要な要素と思います。 演奏会の前には練習スケジュールが過密になる事もあります。それでも、よりよい演奏のために、互いに意見を出し合い、上手くいかない時は助け合って練習できるようになったのは、私たちがみんな、音楽が好きで、音楽を心から楽しみたいという共通する想いと熱意があったからだと思っています。 設立母体がなかったゆえの苦労もありましたが、何にも縛られることなく、自分たち自身で活動のスタンスを見つけられた、そんな自由な部分も私たちの団の特徴だと、今は感じています。

◆みんなの情熱とプロの指導

設立から10年が経ち、「音楽のまち・浜松」のオーケストラにふさわしいクオリティを持とうという意識が定着してきた気がします。 20代・30代の団員も多く、私のような年配の団員も若い世代に負けずに熱心に練習しています。 音楽をつくり上げる過程において、年齢や地位、演奏技術の上下さえも関係なく、互いに尊敬し合う信頼関係があって、ここまでできたと感じています。

個人的な考えですが、偉大な作曲家の楽曲を前に、アマチュアといえども決して下手な演奏はできないと思っています。限られた時間の中でそれぞれがスキルを高め、みんなで一つの音楽を仕上げていく。 そのためには多くの約束事もあって、それを合わせる作業は簡単ではありません。時には体育会系のノリが必要なこともあります。

団の特徴のひとつでもありますが、パートごとにプロの演奏家であるトレーナーのレッスンを受け、曲づくりまで指導いただいています。成果が出ると意欲が高まって練習がより楽しくなります。 プロの方の話やアドバイスは、イメージと技術の両面で世界を広げてくれ、その存在は団にとって非常に重要で大きな力となっています。

◆聴く人に意識を傾ける

私たちの公演はクラシック曲をプログラムとした定期演奏会と、親しみやすい選曲や楽しい企画を取り入れたサマーコンサートの2つです。 定期演奏会は未就学児の入場をご遠慮いただいていますが、サマーコンサートは3歳から入場ができますから、「Tシャツと短パンでどうぞ」と親子の来場を呼びかけています。 吸収力のある子供たちが音楽に親しむきっかけになればという想いで、パンフレットには仮名を振って分かりやすくしたり、演奏会のマナーなども載せています。

浜松が音楽のまちとして、ますます発展していくために、演奏者は常に聴く人を意識する必要があると思います。音楽は誰でも、また一人でも演奏はできますが、聴いた人が「また聴きたいね」、「今度はいつやるの?」となって、文化は芽生えるものだと思います。演奏者、聴衆、主催者が三位一体となって、音楽ファンの輪をいかに広げていくか、それが文化を育てることにつながるのではないでしょうか。 演奏者が主催者でもある市民団体としては、そういう部分で行政のフォローがあったら嬉しく思います。 特に発信力については行政が加わることで、とても大きな力になると思います。 財政を考えると難しい面もあり、意見も様々かと思いますが、例えばジャンルの垣根なく、音楽フェスティバルのような催しを市民が企画し、行政が中心となってそれを市内外に発信してくれたら、隣接する地域の人達も浜松を訪れ、意義深いものになることでしょう。 「音楽のまち・浜松」を誇りに感じられるようなイベント政策、行政にしかできない役割があるとしたら、そういうことだと思います。

◆オーケストラはまちを映す鏡

血の通った生の演奏だからこそ、音楽の楽しさを伝えたり、人の心を動かすことができるのだと思います。 音楽ファンの輪を広げ、浜松の音楽振興に少しでも役立ちたいという想いは、私たちのような市民楽団にとって、重要なモチベーションのひとつなのです。「オーケストラはまちを映す鏡」という言葉を聞いたことがあります。文字通りオーケストラの雰囲気はそのままそのまちの雰囲気であるという意味で、私たちも音楽のまちを支える市民団体として愛され、応援してもらえるようなオーケストラでありたいと思っています。

浜松が音楽のまちであるというイメージは全国的に広まってきたと思います。浜松の市民オーケストラであることに誇りを持ち、市民オーケストラを名乗る以上、浜松というまちを音楽で表現して市の内外に発信していきたいです。 振り返れば10年前の練習初日、見知らぬどうし集まったみんなで初めて出した音が響き渡った瞬間、感動が込み上げてきたことを今でも覚えています。

これからもあの時の感動と初心を忘れずに、市民の皆さんに「いいね」って言ってもらえるオーケストラになれるよう、みんなと力を合わせて頑張っていこうと思います。